DLCコーティング装置・表面処理・薄膜分析のナノテック株式会社

表面分析

ナノインデンテーション試験により、基材の硬さの影響を抑えて膜の硬度を測定します。

硬さ試験(ナノインデンテーション試験)の基本原理

 

ナノインデンテーション試験は、圧子の押し込み荷重と深さを連続的に測定し、顕微鏡像ではなく、押し込み深さと荷重の曲線から硬さ(インデンテーションハードネス)やヤング率を算出する方法です。
薄膜の硬さ試験において、従来法であるマイクロビッカースやヌープ試験を適用した場合、圧子の押し込み深さが大きいため測定結果に基板の硬さが影響し薄膜自身の硬さがわからないことがあります。
基板硬さの影響を抑えるためには、一般的に押し込み深さを膜厚の10 %以下(ただし、基板材質と膜特性による)にする必要があると言われています。そのためナノインデンテーション(Nanoindentation)試験が開発され、10 μm以下の薄膜の硬度測定も可能となりました。
そして2002年には、ISO14577としてナノインデンテーション試験のドラフトが作成され世界的に認知が広まっています。
ナノインデンテーション試験におけるインデンテーション硬度のビッカース硬度への換算式がISO14577-1のAnnex Fに記載されています。ナノインデンテーション試験によるビッカース硬度測定においては、深さから投影接触面積を計算するのに対し、従来のビッカース硬さ試験法においては、顕微鏡により圧痕面積を計測します。
ビッカース試験法では、圧痕周辺部の盛り上がりや沈み込みが測定結果に影響するので、ナノインデンテーション試験によるビッカース硬度とビッカース試験法によるビッカース硬度の値に差がでることもあります。
どの試験方法の硬さであるのか、又は換算値であるのかを注意して比較する必要があります。
インデンテーション硬さH ITは、投影接触面積A pと最大荷重F maxから以下の様に示される。A pは、理想的形状の圧子として計算する場合と標準片(主にFused Silica)により実際に使用する圧子ごとに補正曲線を作成しそこから算出する場合があります。

理想的先端形状のベルコビッチ圧子を用いる場合、インデンテーション硬さ(H IT)は、
以下のようになります。

実際には、圧子先端の校正カーブを基準片により算出して補正をかけています。
【参考文献】
(株)リアライズ理工センター,(2006)「生産現場・開発現場において役立つ薄膜作製技術」草野英二編,第7章機械的特性、p220-223,ナノテック(株)平塚傑工部分執筆

ENT-2100 外観

【推奨試料サイズ】
高さ10~15mm以下、φ30mm以下
(特殊治具等対応した場合は、高さ30~35mm、φ30mm以下も可能)
測定の位置決めも可能です。

【用途事例】

プラスチック(各種フィルム、コーティングフィルム含む)、部品材料(自動車部品、金型、電極等)、鉄鋼材料(SUS系、SKH、SKD、超硬等)、DLC、TiN、CrN、Crメッキ、Niメッキ、アルミナ、窒化ケイ素、SiC、Cu、Auメッキ、溶射膜、各種有機系コーティング

【備考】
試料は、上面下面が平行で平面であることが必要です。
表面粗さが大きい場合、測定できない場合やばらつきの要因になる場合があります。
押し込み深さが、膜厚の10%(基板や膜の硬さにより変動)以下でない場合に基
材の硬さの影響を受ける可能性があります。

使用試験機
試験機名 説明
ENT-2100 数十nmの押し込み深さで、再現性よく硬さ試験が可能。
より薄い膜にも対応できます。

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