NANOTEC GROUP
平和電源株式会社
株式会社トッケン
NSC株式会社

DLC コーティング・薄膜 評価試験のナノテック

go to English versionanotec English

表面分析 /受託試験

社内の実験装置・評価試験機器を用いてお客様と共に実用を 前提とした研究・試験。



低荷重での荷重分解能を向上させた改造マイクロスクラッチテスター

CSEM Application Bulletin - May 1997

序論

薄膜の製造者や研究者からのCSEMマイクロスクラッチテスターでもっと低荷重で1μm以下の薄膜の密着力を測りたいという要望に沿って試験機の改造がおこなわれた。

通常のMSTは荷重範囲が1〜30Nでロードセルの出力はフルスケールで5Vである。荷重基準電圧Fnのゲインを小さくすることで荷重範囲は10分の1となり同じ8ビット信号変換で低荷重での高い荷重分解能が得られる。これによって今まで再現性がよくなかった極薄膜の測定が可能となる。

ナノメータオーダーの侵入深さでは明らかにスクラッチ圧子の選択が非常に重要である。標準の先端半径200μmのダイヤモンド圧子は適当でない。他に先端半径10μmの硬質金属圧子(通常超硬合金)で先端角90度や120度のものが利用できる。

連続荷重スクラッチ試験

図1 Si基板上の100nm厚カーボン薄膜の連続荷重スクラッチ試験 (垂直荷重448mN で全体剥離が見られる)

この改造はまだプロトタイプで商用ではない点に留意されたい。

結論

荷重分解能の向上の効果を確認するために先端角90度の超硬合金圧子を用いて膜厚100〜300nmの各種薄膜の測定をおこなった。図1に示すようにカーボン薄膜の密着力がふたつの破壊モードで評価された。スクラッチ方向は左から右である。まずスクラッチ痕に沿って被膜の基板からの浮き上がりが起こり、ある臨界荷重(ここでは448mN)を越えると被膜は荷重に耐えられず脆性的な破壊が始まる。

試験機の荷重感度が上がったためアコースティックエミッションは信号強度が弱く検知できないので臨界荷重はスクラッチ痕の光学的観察により決定される。従来の光学顕微鏡では限界があるため他の観察手段が必要になる場合もある。ひとつの方法はナノハードネステスター NHTの記事で紹介したような対物レンズ互換型走査型プローブ顕微鏡(原子間力顕微鏡)を取り付けることである。今後の記事でこの利用結果を報告する予定である。しかしこの方法は走査するカンチレバーがスクラッチ痕に接触するため問題点もある。もし破壊が脆性的なものでスクラッチによる被膜の破片が残っているとこれらの動く残滓が像を損なう恐れがある。その場合は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた方が良いだろう。

図2は被膜の耐久性とスクラッチ強度の評価が重要な装飾用の硬質薄膜コーティングのスクラッチ痕の光学顕微鏡写真である。この被膜材料ではふたつの顕著な破壊形態が観察された。最初の破壊はスクラッチ痕に沿って小さなクラックが進展し被膜中に広がるラジアルクラックが特徴である。(図2(a))

市販硬質薄膜の漸増荷重スクラッチ 最初の破壊形態
(a)

市販硬質薄膜の漸増荷重スクラッチ 最終の破壊形態
(b)

図2 市販硬質薄膜の漸増荷重スクラッチ
最初の破壊形態 (a) :両側の小さなクラックと被膜中に広がるラジアルクラック
最終の破壊形態 (b) :クラック密度が高まり剥離とチッピングが起きている

最終の破壊形態ではこうしたクラックが進展して剥離やチッピングが起きている。ラジアルクラックの頻度が増えて、摩擦力信号の小さな山に対応づけられる大きなクラックは内部応力の解放として理解することができる。(図2(b))

テクニカルレポートに戻る



  Copyright © 2007 NANOTEC CORPORATION All rights reserved.
nanotec