CSEM Application Bulletin -Winter 1996
序論
スクラッチ試験機MSTは薄膜密着力の定量評価試験機として工業的に広く用いられている。試料の動きを止め通常のスクラッチ用のロックウェル圧子をビッカースダイヤモンド圧子に変えることによりMSTを従来のビッカース硬さ試験機として使用することができる。
本アプリケーションノートはMSTによりスクラッチ試験だけでなくオプションとして各種薄膜のインデンテーションによる品質管理や比較試験をおこないたいという多くの客先の要望にこたえるものである。

図1 標準鋼基準試料へのビッカース圧痕の光学顕微鏡写真
(圧痕対角線長さ d=51.2μm)
試験方法
図2の通りMSTにビッカース圧子を取り付け、テーブル速度を Instrument Set-up メニューでゼロに設定する。
ASTM規格E48に適合するように最大荷重を同じメニューで10Nに、荷重負荷モードを Progressive にする。
インデンテーションをおこなったのち試料を組み込み顕微鏡の下に駆動モーターで移動し圧痕の対角線長さを測定して換算表からビッカース硬さを求める。対角線長さは接眼レンズのクロスヘアラインを圧痕の端に合わせて直接ソフトウェアから移動距離を読むことができる。

図2 ビッカース圧子を取り付けたマイクロスクラッチテスター
結論
図1に示したインデンテーションはビッカース硬さ基準片におこなったもので、垂直荷重 10N でビッカース硬さ HV707である。
MSTはスクラッチ試験だけでなく正確な硬さ試験をおこなうことができる。これにより薄膜評価試験としてより汎用的な分析ツールとして使用可能である。
注意事項
- 薄膜試料では一般的に押し込み深さが膜厚の10分の1を越えるとビッカース硬さは基板硬さの影響を受ける。
- ビッカース圧子でスクラッチ試験をおこなうと圧子が損傷するので推奨できない。

図3 試料上のビッカース圧子














