真空中で電子を試料にあてると二次電子や特性X線などを発生させることができます。2次電子によって立体的な白黒の画像を得られ、光学顕微鏡よりずっと高倍率まで観察することができます。 本試験所では、簡易SEM(走査型電子顕微鏡)による観察とEDX(エネルギー分散型X線分析装置)によって元素分析も行うこともできます。

図 簡易SEM・EDXによる観察と元素分析
荷重をかけながらダイヤモンド圧子で試料表面を引っかき、膜の密着性や傷つきやすさの評価を行います。
1、実験方法
DLC膜厚による影響の比較するため、同様の中間層を用いて表1に示すサンプルの評価
を行った。
| 表1 サンプルの詳細 |
| ディスク名 | 膜種 | 膜厚 | 基材材質 |
| 0.5μm-DLC | a-C:H | 0.5 μm | SUJ2 |
| 1μm-DLC | a-C:H | 1.0 μm | SUJ2 |
| 4m-DLC | a-C:H | 4.0 μm | SUJ2 |
Scratch Testerを用いてスクラッチ試験を行った。圧子は先端曲率半径200μmのダイヤモンド圧子を用いた。試験条件を以下に示す。
| 初期荷重 | 0.9 N |
| 負荷速度 | 100 N/min |
| 移動速度 | 10 mm/min |
| AEセンサー感度 | 9 |
表2に試験時の環境を記す。
| 表 2:試験時の環境 |
| 試験温度 | 試験湿度 |
| 23~25℃ | 17~19% |
| 23~24℃ | 20~22% |
青線:AE(アコースティックエミッション) →チッピングやクラック等の音に反応する。
紫線:Ft(摩擦力) →膜と基材で摩擦力が異なる場合、剥離が起こると傾きが変化する。
赤線:Mu(摩擦係数) → 膜・基材とダイヤモンド圧子との摩擦係数。(垂直荷重と摩擦力から算 出)
2、結果と考察
図 1 に 0.5μm-DLC(0.5μm の a-C:H 膜)のスクラッチ痕の状態を示す。
まず 13.93N 付近からスクラッチ痕エッジ部にクラック(ヒビ)が観察され始め、次に
21.07N 付近から同じくスクラッチ痕エッジ部にチッピング(カケ)が観察され始めた。そ
の後、42.34N 付近から膜のはく離が観察され始めた。なおはく離ポイントと摩擦係数、摩
擦力の変化には対応関係が見られた。
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| (a) 13.93N Edge Crack | (b) 21.07N Edge Chipping |
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| (c) 42.34N Crack | |
| 図1 0.5μm-DLC(0.5μm の a-C:H 膜)のスクラッチ痕の状態 | |
図2に 1μm-DLC(1μm の a-C:H 膜)のスクラッチ痕の状態を示す。
まず 14.09N 付近からスクラッチ痕エッジ部にクラック(ヒビ)が観察され始め、次に
20.22N 付近から同じくスクラッチ痕エッジ部にチッピング(カケ)が観察され始めた。そ
の後、43.35N 付近から膜のはく離が観察され始めた。なおはく離ポイントと摩擦係数、摩
擦力の変化には対応関係が見られた。
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| (a) 14.09N Edge Crack | (b) 20.22N Edge Chipping |
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| (c) 43.35N Delamination | |
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図2 1μm-DLC(1μmのa-C:H膜)のスクラッチ痕の状態 |
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図3に 4μm-DLC(4μm の a-C:H 膜)のスクラッチ痕の状態を示す。
まず 20.79N 付近からスクラッチ痕エッジ部にクラック(ヒビ)が観察され始め、次に
24.13N 付近から同じくスクラッチ痕エッジ部に他サンプルよりも大きなチッピング(カケ)
が観察され始めた。その後、36.28N 付近から膜のはく離が観察され始めた。なおはく離ポ
イントと摩擦係数、摩擦力の変化には対応関係が見られた。
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| (a) 20.79N Edge Crack | (b) 24.13N Edge Chipping |
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| (c) 36.28N Delamination | |
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図3 4μm-DLC(4μmのa-C:H膜)のスクラッチ痕の状態 |
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表3に各種 DLC の観察ポイント臨界荷重の比較を示す。ただしスクラッチ痕の状態がそれぞれ異なるので、一概に比較することはできない。
はく離荷重でのみ比較した場合、膜厚が1μm以上になるとはく離臨界荷重が低下する傾向があると考えらえる。
膜の内部応力が増加したためと推察され、スクラッチ試験が膜の内部応力の影響を大きく受けていると考えられる。
| 表3 臨界荷重の比較 |
| 単位:[N] | |||||
| サンプル名 | 観察ポイント名 | 1 回目 | 2 回目 | 3 回目 | 平 均 |
| 0.5μm-DLC | Crack | 13.93 | 11.54 | 11.48 | 12.32 |
| Edge Chipping | 21.07 | 21.18 | 21.47 | 21.24 | |
| Delamination | 42.34 | 43.06 | 42.55 | 42.65 | |
| 1μm-DLC | Crack | 14.09 | 11.54 | 12.68 | 12.77 |
| Edge Chipping | 20.22 | 15.34 | 14.78 | 16.78 | |
| Delamination | 43.35 | 41.93 | 42.67 | 42.65 | |
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Q&A
Q1
どのような形状の試料が測定できますか?
A1
試験機により、測定出来る試料の形状は異なります。摩擦摩耗試験・スクラッチ試験・硬さ試験では、10~20mmの□、t5~10mmであれば標準治具で測定可能です。それ以外のサイズでも、治具や固定方法を工夫すれば測定ができますので、詳細はお問い合わせください。
Q2
どのような試験条件で測定を行えばよいのですか?
A2
試験項目により対応出来ない場合がございますが、基本的に立会い測定も可能です。お客様のお立会いのもと、試験条件を決定していく場合もございます。実際に、試験時の様子を見ていただくことで、より試験についての知見が得られると思います。
ご依頼方法から結果のご報告までの流れについてご説明いたします。
お問合せから結果ご報告までの流れ
| ◆お問合せ◆ | |
| お電話もしくはお問合せフォームより、試験の目的や試料に関する情報を可能な限り詳しくお知らせください。 試験内容、及び試験条件については、お客様とご相談の上決定させて頂きます。 ご要望に応じて、休日対応やお客様立ち合いの試験も可能です。 |
|
| ◆お見積り◆ | |
| ご相談の内容に基づき、弊社よりお見積り価格や納期をご連絡致します。 |
|
| ◆試料の送付◆ | |
| お決まりになりましたら、測定サンプルを表面分析センター宛てにご送付ください。 もし、注文書や指定伝票がありましたらお送りください。別送でも構いません。 注文書が無い場合は、こちらからお送りする試験申込書が注文書代わりとなります。 |
|
| ◆試験申込書と試験条件同意書の送付と返送◆ | |
| お送り頂きましたサンプル到着後、試験申込書と試験条件同意書をメールにて送付いたします。 内容を確認頂き、ご返送下さい。 |
|
| ◆測定開始◆ | |
| 試験条件同意書に基づき、測定を致します。 |
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| ◆結果報告◆ | |
| 測定終了後、サンプル・報告書・納品書・請求書をお客様宛にお送り致します。 (報告書のデジタルデータもメールにてお送りします。) |
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| ◆お支払い◆ | |
| お支払い期日までにご入金ください。 | |
簡易膜厚測定器により、膜厚の測定を行います。
樹脂の傷つきやすさの評価
試験の目的:
樹脂の傷つきやすさの評価
試験方法:
スクラッチ試験を行い、レーザー顕微鏡によりスクラッチ痕の形状を観察し、
各種プロファイル測定を行う。
試料:樹脂A、樹脂B
(実環境では、樹脂Aの方が傷がつきづらい)
スクラッチ試験
試験機:CSM Instruments社製Micro Scratch Tester
圧子:先端曲率半径50μmのダイヤモンド圧子
荷重条件:0.1~30N(100N/min)
スクラッチ距離:3mm
レーザー顕微鏡観察
試験機:Olympus社製LEXT OLS4000
対物レンズ倍率:20倍
樹脂A

樹脂B

スクラッチ痕のLM高さ画像の比較
樹脂A

樹脂B

樹脂A

樹脂B


測定箇所1.5mm(約15N付近)

測定箇所2.5mm(約25N付近)
実環境での評価では樹脂Aの方が傷はつきづらいが、スクラッチ方向のプロファイルは、樹脂Aの方が深くなっている。
しかし、断面プロファイルでは樹脂Bの方がスクラッチ痕の幅が広く、広範囲にわたってパイルアップしていることがわかり、断面プロファイルでの評価が実環境での評価と相関がとれていると思われる
簡易膜厚測定器により、膜厚の測定を行います。
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二重のリング状の電極を持つプローブと表面に敷く電極からなる。 表面抵抗率を測定するときは、内側リング、外側リングが電極となり、裏面電極がガード電極となる。 ps=R×RCF(S) 体積抵抗率を測定するときは、裏面電極、内側リングが電極となり、外側リングがガード電極となる。
※RCF(V):体積抵抗率計算係数 補正係数はプローブの刑によって決まる。
※ガード電極の存在により電流の漏れが抑えれられる。 |
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高抵抗の体積抵抗率測定では、基板・薄膜にまたがった部分の抵抗値を測定して算出することになるため、体積抵抗率の低い金属基板を用いてのみ測定が可能となる。 また、薄膜の膜厚が薄すぎると基板の抵抗の影響を受けるので注意が必要である。 高抵抗の表面抵抗率を測定する場合も薄膜の膜厚と基板の影響を受ける。 例)高抵抗DLC薄膜の表面低抵抗率測定
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試料の絶縁破壊
試料表面が汚れていたり、過剰な電圧を印加
したりすると、絶縁破壊が起こる。
試料の特性が変化してしまうため、注意が
必要である。
→表面の汚れを除去し、初めは低い電圧から
測定を始める必要がある。
簡易膜厚測定器により、膜厚の測定を行います。
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両端の端子間に定電流に流し、内側 以下の式で低抵抗率を導出する。
RCF:低抵抗率補正係数 t:膜厚 |
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低抵抗の体積測定率の場合、薄膜の正確な 例)低抵抗DLC薄膜400nmの体積抵抗
RCF:低抵抗率補正係数 t:膜厚 |
分光エリプソメトリー測定ではサンプルへ光を照射することで入射光と反射光の偏光の変化量を測定し、その結果から膜厚d、光学定数(屈折率n、消衰係数k)の波長依存性を求めることが可能です。
目的の情報を得るには測定結果のデータ解析が必要であり、その解析には薄膜材料の光学モデルが必要となります。薄膜材料が未知の場合は、誘電関数により光学定数の波長分散を定義します。光学定数はDLC膜の構造に密接に関係しているため、硬度やその他の特性と相関を有することが示されています。単層のDLC膜であれば屈折率と消衰係数からDLC膜の分類も可能です。

使用機器 及び 測定仕様

| 機器名 | Auto SE |
| 測定方式 | 液晶変調方式 |
| 光源 | ハロゲンランプ及び青色LED (波長範囲:440~1,000nm) |
| 入射角 | 70度固定 |
| スポットサイズ | 500μm×500μm~25μm×60μmの7種類 |
| サンプルステージ | X軸:Max200mm Y軸:Max200mm Z軸:Max40mm |
測定イメージ
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注意事項
・カーボン膜又はDLC膜のみ測定の対応をしております。
・成膜していない基板のみの試料もご準備下さい。
・中間層がある場合は基板+中間層の試料もご準備下さい。
・多層膜の場合は、別途ご相談ください。
関連規格
ISO23216
関連文献
DLCの光学特性と硬さの相関について、 「Journal of Solid Mechanics and Materials Engineering Vol. 7, No. 2, 2013」に論文が掲載されました。
タイトル:「Correlation between Optical Properties and Hardness of Diamond-Like Carbon Films」
レーザー顕微鏡観察では、高解像度な観察・測定で微細な試料の状態観察が可能です。
光源から照射されたレーザーを対物レンズを通して試料表面で集光させます。集光点で生じた光はビームスプリッターにより検出器側へ反射しピンホールを通り検出されます。このピンホールにより、ピントのあった箇所の情報を得ることができます。

使用機器 及び 測定仕様

| 機器名 | LEXT OLS4000 | |
| LSM部 | 光源 | 405nm半導体レーザーにより高精度で測定可能 |
| 検出系 | フォトマルチプライヤー | |
| カラー観察部 | 光源 | 白色LED |
| 検出系 | 1/1.8インチ200万画素単板CCD | |
| Z測長部表示分解能 | 1 nm | |
測定イメージ
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レーザー光を試料に照射し、その反射光や透過光を検出することで、下画像のような試料の3D表示や、右画像のような深さの計測が可能です。膜のトラブル時の詳細観察や、材料の面粗さ(Sa算術平均高さ、Sz最大高さ等)の測定まで幅広く対応できます。 |
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■試験の目的 樹脂の傷つきやすさの評価 ■使用試験機 スクラッチ試験機 、レーザー顕微鏡 |




























