硬さ試験
硬さ試験では、ナノインデンテーション法による硬度測定を行うことができます。ナノインデンテーション法は圧子の押し込み荷重と深さを連続的に測定し、その測定曲線から硬さ(インデンテーションハードネス)やヤング率を算出する方法です。
微小荷重での測定により、基材硬度の影響を抑えて薄膜の硬度測定が可能です。また、押し込み深さが浅いため、表面状態の変化を評価可能です。
使用試験機 及び 測定仕様
硬さ試験機
試験機名 | ENT-2100 |
測定方式 | ナノインデンテーション方式(ISO14577) |
圧子 | Berkovich圧子 |
推奨試料サイズ | 高さ14mm以下、Φ30mm以下(特殊治具対応した場合は高さ35mm、Φ30mm以下も可能) |
用途 | ナノインデンテーション硬さ・ヤング率、クリープの評価 |
測定イメージ
硬さ試験 測定イメージ
インデンテーション硬さHITは、投影接触面積APと最大荷重Fmaxから算出することが可能です。APは理想的形状の圧子として計算する場合と標準片(主にFused Silica)により実際に使用する圧子ごとに補正を行い算出する場合があります。理想的先端形状の圧子を用いる場合、インデンテーション硬さHITは、以下のようになります。 |
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右図は硬さ試験機で測定した荷重―深さ曲線です。Sは、除去荷重の傾きから算出された接触剛性です。理想的先端形状のベルコビッチ圧子を用いる場合、インデンテーション硬さHITは、以下のようになります。 | |
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インデンテーションヤング率EITは、除荷時の曲線における傾きから算出します。 | |
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注意事項
・試料は、上面下面が平行で平面であることが必要です。
・表面粗さが大きい場合、測定できない場合やばらつきの要因になる場合があります。
・押し込み深さが、膜厚の10%(基板や膜の硬さにより変動) 以下でない場合に基材の硬さの影響を受ける可能性があります。
・薄膜の硬さ試験の場合は、膜厚を必ずご連絡下さい。
・裏面に接着材を使用して固定しますので、問題ある場合はご連絡願います。
・磁気を帯びたサンプルは測定できません。必ず脱磁を行ってください。
・埋め込みサンプルの場合、エッジの部分が盛り上がっていると圧子がぶつかる場合があります。必ず上面下面が平行でバリ等が無いようにして下さい。また、埋め込みサンプルの樹脂が帯電しやすい場合は測定値に影響する場合があります。
・ダイヤモンド膜等の高硬度(HV4000以上)のta-C膜に関しては、対応ができない場合があります。
・薄い基材の場合は硬さ測定結果に影響がある場合があります。
・試験後の観察目的で、圧痕の位置情報を希望する場合は、予め試料へのマーキングをお願いします。
・マーキング点からXY移動距離を記録します。
・硬質薄膜は試験機の顕微鏡では圧痕が見えない為、観察画像は不可となります。
・位置指定をご希望の場合は、有償となりますのでご連絡下さい。